基礎TOPICS Vol.45

困難な施工条件を克服!水上での杭打ちを実現する方法

EAZETでは、水上で杭を施工した実績があります。

河川工事や護岸工事、沿岸部などで杭を施工する場合、施工条件が難しいことがよくあります。なかでも水上での施工の際には、 施工機械の安定性の確保や現場へのアプローチ方法等の課題に対し、入念に検討を行い、施工計画を立てる必要があります。 今回は、EAZETを用いて水上で行った実際の施工事例について紹介します。

一般的な構台上での施工事例をご紹介します。

構台上からの施工事例写真と特徴を記載します。コンパクトなEAZET施工機械と乾式工法のEAZETがうまくマッチしています。


計画的に配置された覆工板


構台上から杭を施工している様子

コンパクトな施工機械がもたらすメリット

安定した構台上では、足場や作業スペースの確保が容易であり、作業員の安全を確保しつつ施工が行えます。 構台は地形の起伏や水深に合わせて改造できるため、施工条件に応じた最適な位置にて効率的に作業が行えます。また、作業機材や杭材料の搬入もスムーズに行えます。
EAZETでは小さな杭打機を使用するため、緻密なピッチで覆工板を敷設し、柔軟な仮設計画を立てることができます。 更に杭心位置によっては、覆工板をめくる(開放させて)施工することが可能です。これにより作業効率が向上し、施工時間の短縮が期待できます。
ただし、上下作業となるため、上方のオペレーターと下方の作業員の連携が欠かせません。また、杭心のズレや鉛直性の確保が非常に重要であり、施工の難易度は高くなります。

台船上の施工事例をご紹介します。

足場のない水上で施工するためには、台船を用いることもあります。構台上からの杭施工よりも難易度がありますが、EAZETはセメントを使用せず、水質汚濁がないため、安心して水底へ杭を施工できます。
約6m×15mクラスの台船上から杭を施工した事例を記載します。台船は水面上で安定した作業プラットフォームであり、且つ施工機材の搬入・配置に際しても優れた柔軟性を発揮します。 構台を設置し難い水面上でもEAZETの施工が可能になります。


(通常既製杭)大型の杭打ち機と大型台船の組み合わせ  →  (EAZET)小型台船にEAZET施工機を据えて杭を施工



実際の施工計画においては、次の事項が重要となります。


1)台船の積載量には限界があるため、事前に積載物の重量を計算し、施工をシミュレーションしながら余裕を持った計画を立てる。


2)海上施工では、潮汐を考慮して、搬入スケジュールを組む必要がある


3)杭施工時は、台船をアンカーで係留し、定点を保持させる。また、写真の様な作業足場の艤装も必要となります。

クレーンで杭打機を台船へ横持ち

70tクレーンを使用して、DHJ-15(約18t)施工機を搬入しました。

レッカークレーンで杭打機を横持ち

台船上に杭打機を乗載

台船上に作業足場を艤装し、杭を打設


EAZET工法を選択することにより、困難な水上での杭施工が可能になるケースもあると考えます。お気軽に旭化成建材までお問い合わせください。

Q&A:鋼管杭の腐食しろや錆について、どう考えていますか?

腐食というと、下記のような影響も知っておくとよいかもしれません。

◇腐食しろと耐久性:鋼管杭は水中や湿った環境で使用されることが多いため、腐食しろ(腐食による杭の消耗)や錆が気になる要素です。腐食による耐久性の低下を防ぐためには、適切な防食対策が必要です。防食塗装や被覆材などの技術を使用して、鋼管杭の寿命を延ばすことが考えられます。

◇防食対策の重要性:腐食や錆による鋼管杭の劣化は、構造物の安全性や耐久性に影響を及ぼす可能性があります。特に水中での使用では、腐食が進行する可能性が高いため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。防食対策を適切に行うことで、杭の寿命を保つことができます。

◇環境への影響:腐食や錆が進行すると、周囲の水や土壌にも影響を及ぼす可能性があります。環境に配慮した防食方法を選択することで、地球環境への負荷を軽減することができます。

腐食しろとは、鋼管が錆びたりすること(腐食)を予測し、あらかじめ見込む厚みのことです。
鋼管の腐食は、酸素、水と化学的に反応することによる鉄の酸化反応です。液体(海水、水など)、固体(土壌)、気体(空気、ガスなど)が共存しているため、 自然環境の中ではもっとも複雑な腐食現象を示しますが、大気中に比べ腐食速度はかなり小さいことが知られています。 一般的に鋼杭の腐食しろについては上部構造の耐久、重要性によって1.0~2.0mm程度に設定されています。

PILE ACADEMY

総じて、鋼管杭の腐食しろや錆は適切な管理と防食対策を行うことで管理可能です。専門家の助言を得て、最適な防食方法を選び、構造物の耐久性を確保することが大切です。


最後に代表的な防食法について、以下に示します

(出典:公益社団法人 日本道路協会『杭基礎設計便覧』令和2年9月 p374~p377)


杭材の腐食について
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