基礎TOPICS Vol.55

液状化が懸念される地盤と杭基礎

1.液状化現象とは

液状化現象は、地震による強い衝撃で地盤が強い衝撃を受けると、今まで互いに接して支えあっていた土の粒子がバラバラになり、地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象のことをいいます。 液状化が発生すると、地盤から水が噴き出したり、また、それまで安定していた地盤が急に柔らかくなるため、その上に立っていた建物が沈んだり(傾いたり)、地中に埋まっていたマンホールや埋設管が浮かんできたり、 地面全体が低い方へ流れ出すといった現象が発生します。


盛土・宅地防災:液状化現象について - 国土交通省 より抜粋

2.液状化現象の具体的な事例と代表的な対策

液状化現象が確認された主な地震になります。



液状化対策としては、建造前・後によりこれらの方法が挙げられます。


埼玉県ホームページより抜粋 建築物の液状化対策について - 埼玉県

3.国や自治体の対策なども

最近では、大地震時にインフラ施設へ被害を及ぼす可能性がある宅地の液状化対策「宅地液状化防止事業(防災・安全交付金)/国交省」として、地下水位低下工法と格子状態中壁工法の2工法を実施されている地区もあります。
また、自治体のハザードマップ整備も進んでおり、地域ごとの液状化発生傾向や危険度が情報提供されています。


東京の液状化予測
横浜市液状化マップ



このように、液状化現象の具体的な事例を通じて、その影響と対策の重要性を理解することができます。
一方、図のように液状化が想定される地域はまだまだ多く、建設場所の詳細な情報は土質試験などに頼らざるを得ません。
液状化の可能性有りと判定された建設地で杭を打設する場合に、当社の工法はどのような特徴があるか次をご覧ください。

新築住宅の液状化対策とその費用|
復旧・復興支援WG「液状化被害の基礎知識」


図 地形模式図による微地形区分(日本建築学会ホームページより)
※微地形区分の(大)(中)(小)は地盤表層の液状化可能性の程度


4.高強度鋼材の使用をご提案した事例/EAZET工法

⇒液状化によるコストアップを少なくできました!


構造物:RC造5階建て集合住宅
杭仕様:φ406.4-Dw800
L=34.0m(6+6+5+5+6+6)
※6m(t19.0)+6m(t12.7)+22m(t7.9)
支持力:1029kM/本



液状化を考慮しない場合、上杭も下杭と同等のt7.9-STK490で対応可能でしたが、液状化を考慮する場合は地盤反力を低減し、より高強度の曲げ耐力を必要とする杭仕様が必要となり、t19.0-STK490を提案し採用となりました。
杭本数を変更することがなかった為、フーチング基礎を大きくすることなくコストアップを抑えることができました。また、当社は高張力鋼管SEAH590【STKT590】も取り揃えておりますので、地盤や荷重条件に応じた設計が可能となっています。


5.水平曲げ耐力をご提案した事例/ATTコラム

⇒液状化によるコストアップを少なくできました!


構造物:S造1階建て施設+発電機
杭仕様:φ267.4-Dw700-φ1000コラム
L=16.0~18.0m
支持力:100~200kM/本


ATTコラムは杭長を短く出来るだけでなく、水平方向地盤反力係数が低下してしまう地盤であっても杭の変位量や発生モーメントを抑える提案が可能な工法です。
本件では、液状化を考慮しない場合は羽根径φ500/コラム径φ700という杭スペックでしたが、液状化を考慮した場合でも羽根径φ700/コラム径φ1000に留めることで本数変更なく、コストアップを抑えることができました。
これは、液状化層に対して下記のようなコラム効果が設計・コストに反映された結果であると考えています。





今後とも、EAZET・ATTコラムのご愛顧をよろしくお願い致します。

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