基礎TOPICS Vol.51

鋼管杭の特長

鋼管杭とは?

旭化成建材のEAZETは鋼管杭に分類されます。今回の基礎TOPICSでは、鋼管杭(EAZET)の特長を改めて整理したいと思います。基礎工法選定のご参考となれば幸いですので、ぜひご一読ください。

杭工法は工場で製作した杭を工事現場まで運搬して打設する「既製杭」と、地盤を掘削し現場でコンクリートを流し込む「場所打ちコンクリート杭」の2つに大きく分類されます。
「既製杭」は、杭本体部の材料によって主に2つに分類されます。材料に鉄筋コンクリートを使用する「既製コンクリート杭」と、材料に鋼管を使う「鋼管杭」です。


〇杭工法の材料による分類

現在、「既製コンクリート杭」に関しては、鉄筋コンクリートにプレストレスをかけて強度を増した高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)が主流となっています。
比較的大規模な建築物で、かつ、現場が広い場合に採用されるケースが多いです。一方で、EAZETに代表される鋼管杭は、プラント設備が不要であり、小型の施工機械で省スペースでの施工が可能であるという特長を生かして、比較的現場の狭い小規模建築物や、施工条件の厳しい土木構造物などを中心に採用されてきました。
近年、鋼管径・羽根径の拡大によって、規模の大きい構造物に採用されるケースも増えてきました。


〇旭化成建材の工法選定ガイド

EAZET(鋼管杭)の特長1:短納期

EAZETの本体部に使う鋼管、先端羽根部に使う板材に関して、標準的な仕様は一定量の在庫を常に確保しています。お客様に発注頂いた後、鋼管と羽根を加工・溶接することでスピーディーに現場に出荷可能です。既製コンクリート杭に比べ、比較的短納期で杭材料を現場にお届けすることが可能です。
※材料納期に関しては旭化成建材までお問い合わせください。鋼管の種類・数量によっては通常より納期がかかることがあります。

EAZET(鋼管杭)の特長2:省スペース施工

EAZETはセメントミルクを一切使用しないため、プラント設備が不要です。また、コンパクトな施工機械を数多くラインナップしており、既製コンクリート杭の施工機械では、施工が難しい狭い現場においても施工が可能です。
また、リーダー部分を改造することで、上空に障害物のある現場でも施工が可能です。省スペースで杭の施工にお困りの際は、ぜひEAZETをご検討ください。



〇狭隘地(用水路内)での施工

〇上空制限下での施工(2mリーダー)

EAZET(鋼管杭)の特長3:杭の引抜き撤去が容易

EAZETは杭を逆回転することで、容易に引抜き撤去が可能です。
借地に工作物を建設する場合や、仮設構造物への杭施工など、将来的に杭の引抜き撤去が予定されている場合は、ぜひEAZETをご検討ください。


〇引抜いた杭材


※鋼管杭撤去時の注意点

●杭頭部に回転用ピースを取り付ける必要があるため、お打ち合わせにより施工方法の決定が必要です。
●杭頭付近に鉄筋がある場合は事前に切断をお願いいたします。
●施工機械が杭芯位置に寄り付くことが出来るよう、整地をお願いいたします。
●引き抜いた杭体の処理(清掃、集積含む)について、元請様にて実施頂くようお願いいたします。

適用建物の拡大

EAZETは販売開始以来、鋼管径・羽根径を順次拡大していき、従来よりも階高の高い建築物への採用も増加してきました。また、柱状改良と羽根付き鋼管杭のハイブリッド工法であるATTコラムは高い周面摩擦力を発揮できるため、地盤状況に応じて階高の高い建築物への採用も可能です。S造・RC造で5~10階程度の建築物において、基礎の選定にお困りの際は旭化成建材にご相談ください。

〇ATTコラムにおける中規模建築物(RC7F)への採用事例

狭隘な敷地でのATTコラムの対応事例です。極限荷重が押し・引き共に大きく、通常の羽根付き鋼管杭では配置が困難でした。先端支持力、周面摩擦力の大きいATTコラムにて、敷地内に収まる本数での設計が可能になり、ご採用いただきました。



敷地状況

敷地状況

施工状況

施工状況

施工状況

施工状況




杭本体部径(mm):φ267.4
羽根径(mm):φ700
コラム径(mm):φ1000
杭長:L=6.5m
長期支持力:1000kN
短期引抜き支持力:500kN


Point!

限られた敷地のなかで、基礎のサイズに制限があり、一般的な鋼管杭では極限支持力が不足してしまうことから、現実的な配置が困難となっていました。
摩擦杭として採用されることの多いATTコラムですが、高いN値の砂礫層に確実に到達、根入れを施し、大きな鉛直支持力を実現しました。


展示会のご案内

EAZET、ATTコラムに加え、1柱1基礎工法のJ-DAIAの実物に近い模型をご覧になれます。
その他機械式継手(NCCジョイント)をご用意しております。お気軽にご来場ください。


展示会案内

名 称:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2024
会 期:2024年7月24日(水)~26日(金)の3日間 10:00~17:00
会 場:東京ビッグサイト 東展示棟
主 催:一般社団法人日本能率協会
ブース:「第50回プラントメンテナンスショー」に出展します。旭化成建材ブース(所在地:M4-290)

事前申込はこちら
メンテナンス・レジリエンス|日本能率協会 (jma.or.jp)

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