熱と体の大切な関係

人の健康の基本は?それは、
「熱」とのビミョーな関係にあったんです。
人の健康の基本とは何でしょう?食べ物や運動も大切なことですが、もっとも大事なことは体温を維持することです。人体はわずかでも体温が変化すれば具合が悪くなり、さらに急激に変化すると命にまでかかわります。恒温動物である人間は、気温の変化に対して血液の流れを調節することで体温を一定に保っているのです。
高温のなかでは人体は血のめぐりを活発にし、水蒸気や汗によって熱を体の外に出すことで体温の上昇を抑えます。しかしこの状態が長くつづくと体力が消耗し、いわゆる「夏バテ」になります。
夏の屋根は強烈な太陽熱にさらされます。これは20台以上のストーブで暖房している熱量に相当するため、その真下にある2階の子供部屋や寝室はたまったものではありません。
逆に低温のなかでは人体は血管を縮めて血の流れを減らし、体から逃げる熱を少なくしようとします。そうすると末梢部分での血のめぐりが悪くなるので、肌荒れやしもやけになりやすくなります。冬山での凍傷も人体の体温調節機能が原因でおこるものなのです。
冬の住まいでもっとも怖いのが「コールドショック」とよばれる現象です。これは急激な温度変化がもとで、心筋梗塞や脳溢血などをひきおこし、冬の住宅内の死亡事故の大きな原因になっています。
太陽から届く熱量は1時間あたり870W/m²・h。82m²(約25坪)の建物の屋根面がうける熱量の合計は870W/m²・h×82m²=71,340W/h。一般的な石油ストーブの熱量は3,450W/hなので、夏の建物の屋根面がうける熱量はストーブ約20台分に相当します。

体温は高温が続くとタンパク質破壊が始まります。まず筋肉や関節の痛みに始まり、脳障害をおこすこともあります。そのため気温が高いと血管を膨張させて血流を増やし、体表面から水蒸気や汗とともに熱を放出して体温の上昇を抑えます。逆に気温が低い時には血管を収縮させ、血流を減らして熱損失を少なくさせます。低温状態が続くと体のコア(脳や臓器)部分を最低限まもるために、末梢の血管を閉じていきます。こうして栄養分の行き渡らない細胞の壊死が始まり、冬のしもやけや肌荒れ、凍傷の原因となります。
急に温度の低い所へ行くと血管はすぐさま収縮し、心臓は血流を促すために心拍数を上げ、その結果血圧が上昇します。断熱の不十分な住まいにおける、冬の早朝や夜間ではトイレや浴室などが冷え切っています。暖かい居室から移動すると瞬時に血管が収縮してしまい、血管がもろくなっている老人の脳卒中の原因となります。近年住まいでのバリアフリーが普及していますが、もっとも大事なのは住宅内の温度差をなくす「温度のバリアフリー」です。