断熱材の仕組みとは?

熱の伝わりを抑える守護神!
最強ディフェンダー「断熱材」。

前章では物質によって、熱の伝えやすさが異なることがわかりました。 断熱性能をあらわす時に用いるのが熱伝導率[W/(m・K)]。 これは熱の伝わりやすさを表わす単位で、値が小さいほど断熱性能が高いことを示しています。

自然界にも断熱性能が高いものはいくつもありますが、建築用途では一般的に熱伝導率が0.1W/(m・K)より小さいものを断熱材として使用します。

断熱材は気体の断熱性能を利用しています。 繊維系の断熱材は細かな繊維のすき間に空気を保持することで、断熱性を確保しています。 ただし密度の低い製品では、保持した空気が「対流現象」によって移動し、断熱性能の低下をもたらす可能性があります。 そのため、より微細な繊維でできた高密度品の方が信頼性があります。

建物の中に“風の道”があるのも日本の住まいづくりの知恵です。まず建物の周囲には大きな窓が設けられています。 その他の壁についても「土壁」や「下見板張り」※1)といった、通気性に優れたものがあります。 また「欄間」※2)をとおして屋内の空気の流れも確保されています。

熱伝導率とは両側で1℃の温度差がある厚さ1mの物体を、
単位面積あたり1秒間に流れる熱量のこと。

対流による熱伝達

繊維系断熱材の中で低密度(繊維の数が少なくすき間が大きい)品については、熱を持った空気が断熱材内部で自由に移動してしまい、期待された効果が発揮されません。 細かい繊維が詰まった高密度品の方が信頼性が高く、欧米では一般的に密度16kg以上のグラスウールが使用されています。


プラスチック系断熱材の仕組み

プラスチック系断熱材の内部でも熱は「伝導」・「対流」・「輻射」の3つの組み合わせで伝わります。 プラスチック部分では「伝導」によって熱が伝わります。 気泡の内部では「対流」によって熱が伝わり、気泡の径が大きくなると、「対流」は活発になります。 一方「輻射」は気泡膜から気泡膜へ直接熱が伝わります。気泡膜の数が増えれば増えるほど、輻射による熱伝達は弱まります。 以上からプラスチック系断熱材の場合、より多くの細かな気泡で構成されたものが高性能となります。