空気伝搬音の防止対策

ある材料に音を投射すると、その音のエネルギーの一部は反射し、一部は材料に吸収され、一部は透過します。
音を透過させないようにすることを「遮音」と呼び、ある材料が遮音する能力を「遮音性能」と呼びます。
具体的には、D値で表されます。

※JIS A 1419の『室内平均音圧レベル差に関する遮音等級』で、周波数特性を定めて基準曲線とし、500Hzで示す音圧レベル差(dB)の数値。

このD値を感覚に表すと以下のようになります。

空気伝搬音
ピアノなど
特に大きい音
テレビ・ラジオ・
会話などの音
集合住宅の生活状態
遮音等級 D-30 非常によく聞こえる 話の内容がわかる 生活がわかる
D-35 よく聞こえる かなり聞こえる 電話のベルが聞こえる
D-40 曲がはっきりわかる 小さく聞こえる 電話のベルがわかる
D-45 かなり聞こえる ほとんど聞こえない 在宅の有無がわかる
D-50 小さく聞こえる 通常では聞こえない 日常生活では気にならない
D-55 静かな時に聞こえる まったく聞こえない 気兼ねなく生活できる

D値は右図下図のような遮音等級法によって評価されます。音圧レベル差の測定値を図中にプロットして、すべての周波数域で基準曲線を上回るとき、その基準曲線の呼び方が、そのデータのD値になります。
(その際、2dB許容が許されます。)ちなみに、D値が高いほど遮音性能が良いと評価されます。

オクターブ帯域中心周波数(Hz)

一般に、空気伝搬音の透過を軽減するには質量の大きな材料・厚い材料が有効です。また、投射した音を吸収し反射させないようにすることを「吸音」といいますが、吸音するには柔らかい材料が有効です。
防音設計では、遮音性および吸音性の高い材料を組み合わせて総合的な防音対策を図るとよいでしょう。

衝撃音の防止対策

衝撃音(固体音)には以下の2種類があります。

  • 重量床衝撃音
    ・・・ドスンバタンという大きな重く響く音で、子供が飛び跳ねるような音がその代表例です。
  • 軽量床衝撃音
    ・・・カツンコツンという比較的軽い音で、物を落としたり、イスを引く音などが代表的な例です。

床の遮音性能には、重量衝撃音(LH)と軽量衝撃音(LL)とがあります。では、材料の遮音性能はどのように評価するのでしょうか?それは、JIS(日本工業規格)によってその方法が定められています。

  • 1.測定方法
  • 重量床衝撃源
    ・・・バングマシン・インパクトボール
  • 軽量床衝撃源
    ・・・タッピングマシン
  • 2.評価方法
  • 上記測定方法で得られた測定データを、JISに定められた方法で評価します。

測定データを右記下図の表にプロットし、基準曲線に対してそれを超えた周波数で遮音等級が決定します。(その際、2dB許容が許されます。)ちなみに、遮音等級LH、LLの数値は、小さいほど遮音性能が良いと評価されます。

オクターブ帯域中心周波数(Hz)

一般に、重量床衝撃音を軽減するには、しっかり押さえて振動させないようにする・重くするなどの対策が有効です。

軽量床衝撃音を軽減するには、柔らかいものでその衝撃を吸収させることが有効です。

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